定年を迎え、これからの人生をどう楽しむか。ふと立ち止まって考えたとき、ガレージにある車が単なる「移動手段」に見えてしまうことはありませんか?「もう歳だし、次は軽自動車でいいか」と、自分を納得させようとしていませんか。しかし、60代はまだまだ現役のアクティブ世代。時間という最大の資産を手に入れた今こそ、本当に乗りたい車を選び、新しい趣味の扉を開く絶好の機会です。
この記事では、シニア世代が抱える「最後の車選び」への葛藤に寄り添いながら、安全性とスタイルを両立する具体的な車選びのヒントをご提案します。さらに、手に入れた愛車と共に東京の奥座敷「奥多摩」へ出かけ、美しい風景の中で車を被写体にする「ドライブ+写真撮影」という大人の遊び方を解説。ただ走るだけではない、愛車と過ごす豊かな時間の作り方をご紹介します。枯れたシニアではなく、誇り高きドライバーとして、人生の第二章を走り出すためのガイドブックです。
安全性能とデザイン性を両立する「大人の選択肢」
60代の車選びにおいて、絶対に外せないのが「安全性」です。年齢とともに動体視力や反射神経が変化するのは自然なこと。だからこそ、それを補ってくれる先進の安全装備は必須条件と言えます。しかし、安全な車=退屈な車ではありません。現在は、世界中のメーカーがデザインと安全性を高度に融合させています。
日本の道路事情にマッチするコンパクトSUVという最適解
セダンやミニバンから乗り換える際、視点の低さやボディの大きさに不安を感じることがあります。そこで強くおすすめしたいのが「コンパクトSUV」というカテゴリーです。
セダンよりも視点が高いため、遠くまで見通すことができ、運転の疲れが軽減されます。また、乗り降りの際に腰を深く曲げる必要がないため、身体への負担も少ないのが特徴です。それでいて、全幅や全長は取り回しのしやすいサイズに収まっているモデルが多く、日本の狭い道路や駐車場でもストレスを感じにくいでしょう。
例えば、マツダのCX-30などは、日本の美意識を感じさせる流麗なデザインと、人間工学に基づいた運転しやすいコクピット、そして先進の安全技術を備えています。また、スバルのクロストレックは、高い安全性能「アイサイト」を搭載しつつ、アウトドアの悪路もこなすタフさを持ち合わせており、アクティブな趣味を持つシニア層から厚い支持を得ています。これらの車は「高齢者の車」というイメージを払拭し、若々しく洗練された印象を与えてくれます。

輸入車という選択で日常にときめきを
「一度は輸入車に乗ってみたかった」という夢を叶えるのも、このタイミングがベストです。輸入車は剛性が高く、長距離運転でも疲れにくい設計になっているものが多いため、体力的な変化を感じ始めた世代にこそ適しています。
フォルクスワーゲンのT-Rocや、ボルボのXC40などは、安全性における世界トップクラスの評価を得ているだけでなく、その洗練されたデザインが所有する喜びを強く感じさせてくれます。輸入車ならではのドアを閉めた時の重厚な音や、インテリアの質感は、乗るたびに心を躍らせてくれるでしょう。あえて輸入車を選ぶことで、「まだまだ現役で人生を楽しんでいる」という自信にもつながります。
週末は奥多摩へ。愛車を美しく切り取るドライブ旅
理想の車を手に入れたら、ただ走るだけではもったいないと感じるはずです。そこで提案したいのが、ドライブの目的地で愛車を被写体にして写真を撮るという楽しみ方です。
都心から2時間程度でアクセスでき、四季折々の自然と美しいワインディングロードが楽しめる「奥多摩」は、大人のドライブ兼撮影スポットとして最高のロケーションです。自分のペースでハンドルを握り、気に入った景色があれば車を停めてシャッターを切る。そんな贅沢な時間の使い方ができるのも、自由な時間を持つ今だからこそです。

奥多摩湖畔で狙う「最高の1枚」
奥多摩湖(小河内ダム)周辺は、広大な湖面と山々の緑、そして愛車を一枚の画角に収めることができる絶好のスポットが点在しています。

特に「大麦代園地駐車場」は広々としており、比較的自由に車を配置して撮影を行うことができます。早朝の澄んだ空気の中、湖面から霧が立ち込める幻想的な風景や、秋の鮮やかな紅葉をバックに愛車を撮影すれば、カタログのような美しい写真が撮れることもあります。
また、奥多摩周遊道路へ向かう途中にある「月夜見第一駐車場」からは、眼下に奥多摩湖を見下ろすパノラマビューが広がります。ここでの撮影は、壮大なスケール感と愛車の存在感を同時に表現できるため、多くの車好きや写真愛好家に愛されています。

ドライブ写真撮影の基本テクニック
本格的な一眼レフカメラでなくても、最近のスマートフォンのカメラ機能は非常に優秀です。いくつかのポイントを押さえるだけで、愛車を驚くほど魅力的に撮影することができます。
まず意識したいのは「光」です。写真は光の芸術と言われますが、車の撮影において最も美しいのは、早朝や夕方の斜めから差し込む柔らかい光です。真昼の直射日光は影が強く出すぎてしまうため、車の滑らかなボディラインを表現するのが難しくなります。あえて少し早起きをして奥多摩へ向かう理由は、混雑を避けるためだけでなく、この「ゴールデンアワー」と呼ばれる美しい光を捕まえるためでもあります。

次に「アングル」です。普段立って見ている目線(アイレベル)で撮ると、どうしても説明的な記録写真になりがちです。思い切って膝をつき、低い位置(ローアングル)から見上げるように撮ってみてください。車が堂々として見え、背景の空や山並みが大きく入り込むことで、迫力のある構図になります。逆に、少し高い位置から撮れば、ボンネットの映り込みやボディの曲線美を強調することができます。
そして「タイヤの向き」も重要です。ホイールの面がカメラ側に向くように、ハンドルを少し切っておくのがプロの常套手段です。これだけで車に動きが生まれ、今にも走り出しそうな躍動感を演出することができます。
夫婦で楽しむ「道の駅」と温泉の癒やし
写真撮影に熱中した後は、奥多摩ならではのグルメや温泉でリフレッシュしましょう。奥多摩湖からほど近い「道の駅 たばやま」には、美肌の湯として知られる「のめこい湯」が併設されています。

愛車の助手席に奥様を乗せているなら、こうした立ち寄りスポットは必須です。撮影中は待たせてしまうこともあるかもしれませんが、その後の美味しい蕎麦や温かい温泉があれば、夫婦の会話も弾みます。奥多摩エリアは水がきれいなため、手打ち蕎麦の名店が多く点在しています。わさびの名産地でもあるため、新鮮な本わさびでいただく蕎麦は格別の味わいです。

また、帰路につく前に地元の直売所で新鮮な野菜や特産品をお土産に買うのも楽しみの一つです。荷室が広いSUVやハッチバックを選んでおけば、たくさん買い物をしても余裕を持って積み込むことができます。
長く運転を楽しむための安全運転の心得
アクティブなカーライフを長く続けるためには、自身の身体機能の変化と向き合い、無理のない運転計画を立てることが大切です。
検索データを見ても、多くの方が「運転は何歳までできるか」「長距離運転の休憩目安」といったことに関心を持っています。プロのドライバーでも、2時間に1回は必ず休憩を取ります。シニア世代であれば、1時間から1時間半ごとに1回、15分程度の休憩を挟むのが理想的です。

車から降りて背伸びをしたり、遠くの景色を眺めたりすることで、目の疲れや身体の凝りをほぐすことができます。奥多摩エリアには適度な間隔で駐車場やトイレが整備されているため、こまめな休憩を取りやすいのもメリットです。
また、「ヒヤリハット」を感じることが増えたら、それは車の機能に頼るべきサインかもしれません。最新の車には、車線逸脱警報や死角を検知するブラインドスポットモニターなど、人間の感覚をサポートする機能が充実しています。これらを過信してはいけませんが、転ばぬ先の杖として活用することで、精神的な余裕を持って運転を楽しむことができます。
これからの人生を共に走る1台を見つける
「60歳だから」と消極的になる必要は全くありません。むしろ、時間的にも精神的にも余裕ができた今こそ、本当に乗りたい車に乗り、行きたい場所へ行くチャンスです。

軽自動車が悪いわけではありませんが、もしあなたの心が「もっとワクワクしたい」と叫んでいるなら、その声に従って車を選んでみてください。デザインに惚れ込んだ車、安全性能に守られた車、そして奥多摩の風景の中に置いたときに絵になる車。そんな「上がりの1台」は、あなたの毎日をより鮮やかに、そして誇り高いものにしてくれるはずです。
まずは、気になる車のディーラーへ足を運び、試乗してみることから始めてはいかがでしょうか。ステアリングを握り、アクセルを踏み込んだ瞬間に感じる高揚感が、新しい物語の始まりを告げてくれるでしょう。愛車と共に撮る一枚の写真が、これからの人生のかけがえのない記録となっていきます。
