最近の街中ではあまり見かけなくなった「車の正月飾り」ですが、実は今、SUVやレトロカーの人気再燃とともに、愛車を新年の装いで彩るスタイルが再び注目を集めています。「最近は付けている人が少ないけれど、マナーとしてどうなの?」「自分の車に付けるなら、どんなデザインがおしゃれに見える?」と疑問に感じている方も多いのではないでしょうか。車に正月飾りを施すことは、単なる慣習ではなく、一年の交通安全を祈願し、神様を愛車に迎え入れるという大切な意味が込められています。
本記事では、2025年の最新トレンドを踏まえ、車の正月飾りを飾るべき適切な時期や、外した後の正しい処分方法といった基本マナーを徹底解説します。さらに、初心者ドライバーが特に気になる「走行中に外れない付け方」や「ボディを傷つけないための対策」、そして道路運送車両法に抵触しないための注意点まで具体的にまとめました。100均で手に入る手軽なものから、カー用品店で買える本格派まで、幅広くご紹介します。この記事を読めば、マナーを守りつつ自分らしいスタイルで新年を迎える準備が整います。安全運転の誓いを込めて、あなたの愛車にも素敵な正月飾りを添えてみませんか。
車に正月飾りを付ける意味と由来を知って安全意識を高める
そもそも、なぜ車に正月飾りを付けるのでしょうか。かつては、正月になると多くの車にしめ縄が飾られていましたが、そこには単なるファッションではない、深い願いが込められています。
正月飾りは年神様を愛車に迎えるための「目印」
正月飾りは、新年の神様である「年神様」を自分の家、そして「動く家」である車に招き入れるための清浄な場所であることを示す目印です。車は私たちの生活において、単なる移動手段を超えた大切な空間です。その大切な場所に神様をお迎えし、古い年の汚れを払い、新しい年の幸運を授かるという意味があります。
交通事故を防ぐための厄除けと安全祈願
車に正月飾りを施す最大の理由は、やはり「交通安全」への願いです。正月飾りを付けることで、ドライバー自身の気持ちが引き締まり、「今年も一年、事故なく安全に運転しよう」という安全意識を再確認するきっかけになります。儀式的な意味合いだけでなく、心理的にも良い影響を与えるのが、車の正月飾りの素晴らしい点です。
正月飾りを飾る時期はいつからいつまで?守るべきマナー
正月飾りには、飾って良い日と避けるべき日があります。これを間違えてしまうと、せっかくの縁起物が逆効果になってしまうこともあるため、正しいスケジュールを確認しておきましょう。
飾り始めるのに最適な日と避けるべき日
正月飾りを準備するのは、12月13日の「正月事始め」以降であればいつでも良いとされています。しかし、現代のライフスタイルでは、クリスマスが終わった12月26日から28日の間に飾るのが一般的です。
特に縁起が良いとされるのは「28日」です。「八」は末広がりで運気が開く数字とされているため、この日に飾るのがベストタイミングと言えるでしょう。
逆に、避けるべき日は以下の通りです。
- 12月29日:「二重苦」や「苦が待つ(末)」を連想させるため、縁起が悪いとされています。
- 12月31日:「一夜飾り」と呼ばれます。神様をお迎えする準備を直前に行うのは誠意に欠けるとされ、また葬儀を連想させることから避けられます。
もし28日を過ぎてしまった場合は、30日に飾るようにしましょう。
飾りを取り外す「松の内」のタイミング
正月飾りを外す時期は、一般的に「松の内」が終わるまでとされています。
- 関東など多くの地域:1月7日まで
- 関西などの一部地域:1月15日まで(小正月まで)
地域によって習慣が異なるため、ご自身の住んでいる場所や、車を走らせる地域の風習に合わせるのがスマートです。
外した後の正しい処分方法
役目を終えた正月飾りを、そのまま家庭ごみとして捨てるのは抵抗があるものです。最も望ましいのは、地域の神社で行われる「どんと焼き(左義長)」に持っていき、お焚き上げをしてもらうことです。
どうしても神社に行けない場合は、自宅で処分することも可能です。その際は、大きめの紙(新聞紙など)を広げ、その上に飾りを置いて塩を振って清めます。その後、他のゴミとは分けて袋に入れ、自治体の分別ルールに従って出してください。感謝の気持ちを込めて丁寧に扱うことが大切です。
車種別の正月飾りの選び方と最新トレンド
一言に正月飾りと言っても、最近では伝統的なものから、現代の車のデザインにマッチするモダンなものまで多種多様です。愛車の雰囲気に合わせた選び方を考えてみましょう。
SUVやクロカン、旧車に似合う「伝統的なしめ縄」
大型のSUVや、角張ったデザインのクロスカントリー車、そして昭和レトロな雰囲気を持つ旧車には、やはり太い藁(わら)で作られた伝統的なしめ縄がよく映えます。フロントグリルの中央にどっしりと構えるしめ縄は、力強さと伝統の重みを感じさせ、新年の特別な空気感を演出してくれます。
セダンやコンパクトカーに合う「スタイリッシュな水引」
最近の流線的なデザインの車や、洗練されたセダンには、あまり大きすぎない「水引」を主体とした飾りがおすすめです。細身のデザインや、紅白だけでなく金銀をあしらったモダンなタイプは、車の外観を損なうことなく、さりげなく新年を祝うことができます。
外車やスポーツカーにおすすめの「車内用ミニ飾り」
「外装に付けるのはちょっと抵抗がある」という方や、高級車・スポーツカーに乗っている方に人気なのが、車内用のミニ飾りです。ルームミラーに吊るすタイプや、ダッシュボードの上に置く小さな門松風の飾りなどがあります。これなら、洗車機の使用を気にすることもなく、運転席からも常に正月気分を味わうことができます。
正月飾りを付ける際の注意点と道路運送車両法
車に飾りを付ける際、最も気をつけなければならないのが「安全」と「法令遵守」です。良かれと思って付けた飾りが、事故の原因や違反になってしまっては本末転倒です。
視界の確保と灯火類の遮蔽禁止
道路運送車両法では、ドライバーの視界を妨げる場所や、ライト・ウインカー・ナンバープレートを隠すような場所に物を置くことを禁じています。
- フロントガラス:お守りや飾りを吸盤で貼り付けるのは、車検の規定で禁止されています(指定された場所以外)。
- ナンバープレート:少しでも文字が隠れると「番号灯及び番号板の保持」に関する違反になる可能性があります。
- ライト類:ヘッドライトやフォグランプの上に飾りが被らないよう注意しましょう。
ボディへの傷つき対策
しめ縄の藁や、固定に使う針金は、走行中の振動でボディをこすり、細かい傷(スクラッチ傷)を作る原因になります。
- 直接ボディに触れる部分には、あらかじめ透明な保護テープ(プロテクションフィルム)を貼っておく。
- 針金ではなく、柔らかいプラスチック製の結束バンド(タイラップ)を使用する。
- 結び目がボディに当たらないよう、裏側にスポンジを挟むなどの工夫をする。
高速道路走行時の脱落防止
正月飾りは風の抵抗を強く受けます。一般道を低速で走る分には問題なくても、高速道路では強風によって飾りが吹き飛ばされる危険があります。
- 高速道路を利用する予定がある場合は、結束バンドで複数箇所を強固に固定する。
- 不安な場合は、高速走行時のみ取り外して車内へ移動させる。
後続車に飾りが当たれば、重大な事故を招く恐れがあることを忘れないでください。
どこで買う?正月飾りの購入スポットと予算
正月飾りは、時期になると様々なお店で見かけるようになります。それぞれの特徴を知って、自分にぴったりの一点を見つけましょう。
カー用品店(オートバックス、イエローハット等)
車専用の正月飾りを探すなら、やはりカー用品店が一番です。車に取り付けることを前提に設計されているため、最初から取り付け用の結束バンドが付属していたり、ボディを傷つけにくい素材が使われていたりします。価格は1,000円から3,000円程度が相場です。
100円ショップ(ダイソー、セリア、キャンドゥ等)
最近の100均の正月飾りは非常にクオリティが高く、種類も豊富です。そのまま使うのはもちろん、複数の飾りを組み合わせてオリジナルの「車用飾り」をDIYする人も増えています。コストを抑えつつ、自分らしさを出したい方におすすめです。
オンラインショップ・ハンドメイドサイト
「人とは違うおしゃれな飾りが欲しい」という方は、Amazonや楽天だけでなく、minne(ミンネ)やCreema(クリーマ)といったハンドメイドサイトを覗いてみてください。作家さんが一つずつ手作りした、モダンで温かみのある正月飾りがたくさん見つかります。少し価格は張りますが(2,000円〜5,000円程度)、愛車への愛着がより一層深まるはずです。
正月飾りをきっかけに「愛車の大掃除」を
正月飾りを付ける前に、必ずやっておきたいのが洗車です。神様をお迎えする場所が汚れていては失礼にあたります。
1年の汚れを落とす「洗車納め」
年末の忙しい時期ですが、1年間の感謝を込めて車をきれいに洗いましょう。特に、正月飾りを取り付けるフロントグリル周辺や、車内のダッシュボード、ガラス類を念入りに掃除することで、飾りもより一層引き立ちます。
車内の整理整頓と備品チェック
正月休みは長距離ドライブをする機会も増えます。掃除のついでに、車内の不要な荷物を整理し、タイヤの空気圧やウォッシャー液の残量、バッテリーの状態なども確認しておきましょう。万全のコンディションで新年を迎えることが、本当の意味での「安全祈願」につながります。
地域別・年代別で見る正月飾りの変化
車の正月飾りは、地域によってもそのスタイルに特色があります。
豪華な「宝船」や「海老」の飾り
一部の地域や、トラックドライバーの間では、今でも非常に豪華な正月飾りが好まれることがあります。宝船、海老、鯛などをあしらった縁起尽くしの飾りは、見ているだけで景気が良くなるものです。これらはプロのドライバーが商売繁盛と安全を願う、熱い想いの表れでもあります。
若い世代に広がる「ミニマル正月スタイル」
一方で、20代や30代の若いドライバーの間では、InstagramなどのSNSを意識した、シンプルで「映える」飾りが人気です。あえて伝統的なしめ縄を真っ白な水引に変えたり、モノトーンの車体に合わせてシルバーの飾りを選んだりと、ファッションの一部として正月を楽しんでいます。こうした新しい文化の形も、伝統を次世代に繋ぐ大切なステップと言えます。
まとめ:安全運転の誓いを形にする、日本ならではのカーライフ
車の正月飾りは、時代の変化とともにその姿を変えてきましたが、根底にある「安全を願う心」は今も昔も変わりません。
「最近はみんな付けていないから恥ずかしい」と思う必要はありません。むしろ、マナーを守り、車を大切に想いながら丁寧に飾る姿は、周囲のドライバーからも好意的に映るものです。
2025年の新年を、ピカピカに磨き上げた愛車と、心を込めて選んだ正月飾りとともに迎えませんか。その小さな飾りが、あなたの一年の安全運転を守る「お守り」となってくれるはずです。
正月飾りの準備が整ったら、あとは穏やかな気持ちで新年を待つだけです。皆様の新しい一年が、素晴らしい景色に出会える安全で快適なドライブライフになりますよう、心よりお祈り申し上げます。

