かつてはスキー場へのドライブなどで、重い金属チェーンを凍える手で装着していた経験をお持ちの方も多いのではないでしょうか。しかし、60代を迎え、ふとした瞬間に体力の変化を感じることはありませんか。「昔のように力任せの作業は辛い」「腰への負担が心配だ」といった悩みは、決してあなただけのものではありません。
技術は進化し、現在は「ジャッキアップ不要」「力いらず」で装着できるタイヤチェーンが主流になりつつあります。これらは、まさに私たちのアクティブな第二の人生を支える頼もしい味方です。
本記事では、定年後のカーライフを安全かつ快適に過ごすための、シニア世代にこそおすすめしたい「装着が簡単なタイヤチェーン」を厳選してご紹介します。見た目にもスマートで、プライドを損なわない最新アイテムを取り入れ、冬のドライブも安心して楽しみましょう。
シニア世代が「装着のしやすさ」を最優先すべき理由
長年運転されてきたベテランドライバーの方であっても、60代からのチェーン選びでは「装着のしやすさ」を最優先事項にすることをおすすめします。それには、単なる「楽をする」以上の安全上の理由があります。

低下する握力と寒冷地でのリスク
年齢とともに握力や指先の力は自然と低下します。若い頃なら強引にフックを掛けられた場面でも、寒さで手がかじかんだ状態では思うように力が入らないことがあります。作業が長時間に及ぶと、体温が奪われ、判断力が鈍る恐れもあり大変危険です。短時間でサッと装着できることは、身の安全を守ることそのものなのです。
腰や膝への負担を軽減する
従来のチェーン装着は、タイヤの裏側に手を回したり、低い姿勢で長時間作業を続けたりする必要がありました。これは腰や膝に大きな負担をかけます。特に雪道での作業は足元が滑りやすく、無理な姿勢は転倒や怪我のリスクを高めます。「ジャッキアップ不要」や「車の移動不要」のタイプを選ぶことは、体を守るための必須条件と言えるでしょう。
今選ぶべきタイヤチェーンの種類と特徴
タイヤチェーンは大きく分けて3つの種類がありますが、シニア世代におすすめできるのは「非金属(ゴム・樹脂)製」と「布製」の2つです。それぞれの特徴を理解し、ご自身の用途に合わせて選びましょう。
非金属チェーン(ゴム・樹脂製)
現在の主流となっているタイプです。金属製に比べて軽量で、ゴムやウレタン素材が使われているため、走行時の振動や騒音が少ないのが特徴です。耐久性が高く、雪道でのグリップ力も申し分ありません。取り付け方法も改良されており、独自のロック機構で力を入れずに固定できるものが増えています。
布製チェーン(タイヤソックス)
近年、急速に普及している新しいタイプです。特殊な繊維でできており、タイヤに「靴下」のように履かせるだけで装着が完了します。最大の特徴は、圧倒的な軽さとコンパクトさです。金属やゴム製のように重い箱を持ち運ぶ必要がなく、トランクの隙間に収納できます。耐久性は他のタイプに劣りますが、急な降雪への備えや、短距離の移動には最適です。
金属チェーンは避けたほうが無難
昔ながらの金属チェーンは安価でコンパクトですが、重量があり、装着時にチェーンの絡まりをほどく手間がかかります。また、走行中の振動も大きく、体への負担や乗り心地の面でも、これからのカーライフにはあまり適していません。
60代におすすめ!力がなくても装着できるタイヤチェーン5選
それでは、安全性と装着のしやすさを両立した、おすすめのタイヤチェーンを5つご紹介します。
カーメイト|バイアスロン クイックイージー
国内シェアトップクラスを誇る、非金属チェーンの定番モデルです。「JASAA認定品」であり、その性能はお墨付きです。最大の特徴は、外側の3箇所を専用ハンドルで回すだけでロックできる「クイックロック機構」です。力を入れて引っ張る必要がなく、テコの原理を利用してカチッと固定できるため、非力な方でも確実に装着できます。耐久性と信頼性を重視するなら、まず検討したい一台です。
イエティ|スノーネット
世界で唯一のラバーネット構造を持つ、ロングセラー商品です。一見すると複雑そうに見えますが、特許技術のロックシステムにより、タイヤの上から被せて車を少し動かすだけで、スプリングの力で自然にタイヤにフィットします。他にはないスマートな見た目と、静かで快適な乗り心地は、高級セダンや輸入車にお乗りの方にも愛用者が多く、車の外観を損ねたくない方におすすめです。
ISSE(イッセ)|スノーソックス
スペイン生まれの布製チェーンで、欧州の自動車メーカーが純正アクセサリーとして採用するほどの信頼性があります。タイヤに被せるだけという圧倒的な手軽さが魅力で、装着にかかる時間は数分程度です。デザインもスタイリッシュで、「いかにもチェーンを付けている」という武骨さがありません。日本のチェーン規制にも適合しており、高速道路での緊急用としてトランクに入れておくと安心です。
オートソック|AutoSock
布製チェーンのパイオニア的存在です。ノルウェーで開発され、その軽量さと扱いやすさから世界中で支持されています。濡れた雪道でも独自の繊維技術でしっかりとグリップします。使用後は洗濯して乾かせば繰り返し使えるため、メンテナンスも容易です。「年に数回降るか降らないか」という地域にお住まいの方や、万が一のお守りとして持っておきたい方に最適です。
ソフト99|救急隊ネット
非金属チェーンの中でも、特にコストパフォーマンスと装着のしやすさに定評があるモデルです。タイヤの裏側でフックを掛ける作業がなく、車を動かさずに分割されたチェーンをタイヤに巻き付けるだけで装着できます。商品名の通り、緊急時に誰でもすぐに使えるよう設計されており、複雑な手順を覚えるのが苦手な方でも扱いやすいのが特徴です。
失敗しない選び方のポイント
ご自身に最適なチェーンを選ぶために、購入前に必ず確認しておきたいポイントが2つあります。
JASAA認定品かどうかを確認する
日本自動車交通安全用品協会(JASAA)が定める厳しい基準をクリアした製品には「JASAA認定マーク」が付いています。これは、雪道での制動能力や登坂能力、耐久性が公的に認められた証です。安価な輸入品の中には品質が不安定なものもありますので、安全を第一に考えるなら、このマークがついた製品を選ぶと間違いありません。
自分の「カーライフ」に合わせて選ぶ
どのようなシチュエーションで車を使うかによって、ベストな選択は変わります。
スキーや温泉旅行など、雪深い場所へ積極的に出かける予定がある場合は、耐久性とグリップ力に優れた「カーメイト バイアスロン」や「イエティ スノーネット」などの非金属チェーンがおすすめです。
一方で、基本的には街乗りが中心で、「急な雪で帰宅できなくなるのが怖い」「スタッドレスタイヤの補助として持っておきたい」という場合は、軽量で場所を取らない「ISSE」や「オートソック」などの布製チェーンが最も賢い選択と言えます。
購入後に必ずやっておくべきこと
どんなに簡単なチェーンでも、ぶっつけ本番での装着はトラブルのもとです。購入したら、必ず天気の良い日に自宅の駐車場で「装着練習」を行ってください。
一度でも手順を経験しておけば、構造が理解でき、雪の降る寒い屋外でも焦らずに作業ができます。また、手袋(軍手ではなく、防水性のある作業用グローブがおすすめ)や、膝をつくためのマット、懐中電灯などをセットにして車に積んでおくと、いざという時に大変役立ちます。
まとめ
60代からの車選び、そして用品選びは、「無理をしない」ことがスマートな大人の選択です。最新の技術が詰まったタイヤチェーンを選べば、力仕事への不安を解消しつつ、安全で快適な冬のドライブを楽しむことができます。
「これが人生最後の車買い替えになるかもしれない」と考えて選んだ愛車だからこそ、装備にもこだわり、安全という名の安心を手に入れてください。準備が整えば、冬の景色もまた違って見えるはずです。






